ヤナセ号の製造(1922)

「ヤナセ号」(大正11年)

ヤナセが、あのトヨタや日産に先駆けて乗用車を製造していたことをご存知ですか?

設計から部品まであくまで国産にこだわったため、採算が合わず結局試作車5台を作っただけで事業化には至りませんでしたが、製造に携った方々が後に国産メーカーで活躍するなど、我が国のモータリゼーションの発展に与えた影響は決して小さくありません。以下は、創業者である梁瀬長太郎氏の思い出話です。

「ヤナセ号」は今日ある日産とかトヨタよりも、もっと早く製造に乗出したのであって国産自動車の試作上の歴史としては相当古い時代に属するものと思う。しかもこれは純粋の国産自動車であって、日産自動車がアメリカからのグラハムやフォードをスケッチしたり、トヨタがシボレーをモンタージュした様な、向こうのデザインと同じものを造ることは少しもしなかった。みな独自の設計架装でやってのけたのである。

(出典『日本自動車史と梁瀬長太郎』より)