ヤナセが12年間も本業の輸入車販売が出来ない時期があったことをご存知ですか?
日中戦争勃発により為替管理が強化され、ヤナセは1937年の輸入を最後として自動車の輸入販売をやむなく中止。再開されたのは終戦から4年もたった1949年。戦後初入荷は7台で、梁瀬次郎社長と輸入部のメンバーが横浜港から芝浦まで回送しました。以下は故梁瀬名誉会長の思い出話です。
芝浦工場の前で故会長が、子供の旅帰りを迎えるように立っておられた。東京港の電車の停留場を右廻りした所から全車一斉にホーンを鳴らし、ほとんど全員玄関にとび出して拍手と万歳でこれを向かえた。第1号のハンドルを握っていた私は、会長が手を振りこの車を迎えられる姿を見て、生まれて初めて親孝行ができたような気がして目頭が熱くなった。
(出典:梁瀬次郎著『轍』第2巻より)