月寒のヤナセの鐘の音が旅人の心を癒していたことをご存知ですか?
月寒に営業所がオープンしたのは1960年10月28日。当時は人家もまばらで周囲はリンゴ畑と野原で、開業当時は事務所の敷地内に馬や羊がまぎれこんだり、リスが事務所の中をとびまわるような自然色豊かな雰囲気だったそうです。
事務所の中央に赤いトンガリ屋根を造り、そこに鐘をぶら下げ、日本航空の送迎バスが前を通るたびに鐘を鳴らしていました。
その当時は、札幌便は1日1~2本であったが、何かの小説の中に、札幌への帰途、千歳空港からバスで家路をいそぐとき、ヤナセの鐘の音を聞いて、家に帰って来たという安堵感が自分の心を和らげてくれた、というような一節があったほど、ヤナセの鐘のガラーン、ガラーンという音が旅する人々に強い印象を与えていたようである。
(出典:梁瀬次郎著『轍』第3巻より)