ヤナセがベンツ社の日本総代理権を獲得した経緯をご存知ですか?
ベンツ車は戦前ドイツ系商社が輸入していましたが、当時からヤナセはベンツの指定サービス工場として高い評価を得ていました。1952年にウエスタン自動車がベンツ車の販売権を取得、不二商事(現三菱商事)経由で輸入販売を開始します。翌1953年GM社からベンツ車販売の許可を得た梁瀬社長は、その脚でベンツ社を訪問し、ダイムラー・ベンツ社全製品の日本代理権を獲得します(正式契約は翌1954年)。
以下は秋口久社友が交渉経緯を記した文章です。
ウィルヘルム部長並びにヴィショディル氏(後の輸出担当部長)を含む大勢の重役を前にして、「今後日本においてベンツ車の販売を成功させる方法は唯一つ。それはヤナセに全面的に任せることである」と大見得を切られ、ヴィショディル氏のバックアップを得て、ダイムラー・ベンツ社全製品の日本総代理権の承認をかちとられたのである。
(出典:梁瀬次郎著『轍』第2巻より)