ヤナセが軽自動車の開発に取り組んでいたことをご存知ですか?コードネーム「YX360」と呼ばれる4人乗りの軽自動車の開発にヤナセが着手したのは、1955年4月。360cc空冷水平対向2気筒エンジンを搭載するFF方式を採用。梁瀬社長の名前にちなんで「ヤナセ・ジャイロ」と命名しようという構想もありました。試作車が1台作られただけで陽の目を見ることはありませんでしたが、開発に携わったヤナセの若き3名のエンジニアの熱気が伝わる名車です。以下は、エンジンとミッションの開発を担当した桂保生氏による思い出話です。
そのころはパキッとした直線基調のデザインが主流でしたが、YX360はオーバルシュイプの美しいデザインでした。フェンダーの峰を膨らませ、ルーフからリアにかけてクーペのように丸みを付けています。ウインドーの形状やグリルなども上級クラスを意識したデザインとなっていました。