上野不忍池の弁天堂境内に記念碑があるのをご存知ですか?
この記念碑は我が国自動車業界の黎明期を支えた石澤愛三(日本自動車)、柳田諒三(エンパイア自動車)、梁瀬長太郎(ヤナセ)、中谷保(安全自動車)の4名の先達を顕彰するために建立されたもので、毎年、東京都の自動車関係団体が中心となって先人供養の法要が営まれています。三十年会は1953年にその当時業界歴が30年以上という方々で結成され、会名の由来となっています。
長い間の自動車業界の歴史を振り返ると、六本木の坂を下り、つき当りの溜池の左側にあった日本自動車、山王下の安全自動車、日本橋のエンパイア自動車、それに加えてヤナセというのが、まだ国産車が日本で製造される以前から自動車の普及発達に努力してきた仲間であった。我々ヤナセがGM、エンパイアさんがフォード、安全自動車さんがクライスラー、そして日本自動車さんがイタリアのフィアットとアメリカのハドソンを扱っていた。
(出典:『轍』第4巻より)