我が国では長い間「輸入は悪で輸出は善」とされていたことをご存知ですか?
日米貿易摩擦の発生に伴い、昭和58年に政府の政策が輸出振興から輸入拡大へと転換します。政府は貿易表彰制度を創設し、初の対象者のひとりに梁瀬次郎社長が選ばれ、内閣総理大臣より輸入貢献者として表彰されました。
以下は梁瀬次郎社長の述懐です。
私は機会あるごとに自動車の輸入こそ輸出の援護射撃であると、主張し続けてきたが、ようやくにして、輸入は輸出のためにも重要なんだということが確認されるようになりつつある。戦前、父が努力していた頃は、「輸入は悪で輸出は善」であったことから考えると、政府が輸入の促進・拡大にこれだけ力を入れてくれるようになった今日のような時代に、ちょうど生まれ合わせることができたことを、私はまことに幸福なことと思っている。
(出典:『轍』第5巻より)