「フォルクスワーゲン江東」のショウルームには
フォルクスワーゲンの歴史が詰まっています

戦後間もない1954年から開始した、ヤナセのフォルクスワーゲン車輸入販売。 長きにわたるカーセールスの歴史に埋もれることなく 江東ショウルームでいまも輝き続ける「タイプ1/輸入一号車」を前に、 フォルクスワーゲン江東(ヤナセオートモーティブ 江東支店)・支店長の高橋則秀がヤナセヒストリーをひも解きます。

  • 2021年11月10日
  • 文:宮崎正行
  • 写真:高柳 健
【イメージ】メイン
日本のフォルクスワーゲンヒストリーの原点が江東支店に
日本におけるフォルクスワーゲンの歴史は、この濃紺のタイプ1から始まる。1952年11月、販促活動のためにフォルクスワーゲン本社のハインリッヒ・ノルトホフ社長が来日し、サンプルとして4台のフォルクスワーゲンを持ち込んだ。その内の1台がこのタイプ1だ。一旦は販売されたものの、その後ヤナセに戻り大切に保管されている。
日本のフォルクスワーゲンヒストリーの原点が江東支店に
高橋則秀(たかはしのりひで)。1990年にヤナセ入社し、セールスとして31年のキャリアを誇る。入社当時はフォルクスワーゲンをはじめキャデラック、シボレー、メルセデス・ベンツ、アウディなど数々のブランドを一手に扱っていた。その後オペル、GM、サーブ担当を経てメルセデス・ベンツの専売セールスへ。2021年4月より現職。

日本のフォルクスワーゲンヒストリーの原点が江東支店に

「ヤナセが1953年にフォルクスワーゲンの日本市場での販売権を取得し、翌1954年からはインポーター・ディストリビューター・ディーラーとなるきっかけとなったフォルクスワーゲン日本輸入1号車です」

深いネイビーのフォルクスワーゲン・タイプ1。そのフロントウィンドウに、じつにさりげなく掲げられている説明文にはこう記されています。この輸入1号車には、ヤナセが創立100周年を迎えた2015年を機に丁寧なレストアが施され、いま、このような美しい状態でショウルームに展示されています。

ここ「フォルクスワーゲン江東」のショウルームでは、ヤナセがフォルクスワーゲン車の輸入販売を始めたころの世相やカルチャーを感じることができる「タイプ1」の実車をはじめ、写真やカタログなどをじかに見ることができます。

それらアイテムの美しく興味深いデザインに触れながら、フォルクスワーゲンとヤナセの歴史について眺めていきましょう。

日本のフォルクスワーゲンヒストリーの原点が江東支店に
日本のフォルクスワーゲンヒストリーの原点が江東支店に
日本のフォルクスワーゲンヒストリーの原点が江東支店に
フォルクスワーゲン江東のショウルームにディスプレイされるタイプ1は、約40年前にヤナセクラシックカーセンターを擁するヤナセオートシステムズでフルレストアされた(ボディとシャシーの分離、再塗装。エンジン、ミッション、ステアリング、ブレーキなどのO/H)。さらにヤナセ100周年記念式典での展示ために2015年、ボディのオールペイントなどが施されている。
再編を経て江東支店はいまのカタチに
再編を経て江東支店はいまのカタチに
掲載しているのはともに1953年当時の写真で、ヤナセを介してタイプ1が初入荷された時の様子と、和装の女性とのポージングカット。1953年から2021年9月末までにヤナセが販売したフォルクスワーゲンの累計販売台数は42万台を超える。

再編を経て江東支店はいまのカタチに

──こちら、現在の江東支店が完成したのはいつごろでしょうか。

2020年8月22日にグランドオープンしました。さかのぼってヤナセとフォルクスワーゲンの“なれそめ”をお話ししますと、終戦から10年も経たない1954年にまで時間を巻き戻すことになります。じつに70年近くも前……私もまだ生まれておりません(笑)。一時期フォルクスワーゲンの販売が途切れたタイミングもありましたが、2005年には再開しています。

──再スタートを切ったのはどちらの場所から?

まず新宿支店からです。その後に品川支店と東京支店(芝浦)が加えられました。さらに深川支店、世田谷支店の2店舗の事業継承により、2017年に5店舗体制に。追って東京支店、品川支店、深川支店の3拠点を「江東」に統合するカタチで3店舗展開(江東、新宿、世田谷)とし、現在の体制となりました。江東支店がヤナセグループのフォルクスワーゲン取扱店のフラッグシップ店という扱いになります。

──立地的には深川支店を引き継ぐ、という感じだったのでしょうか。

はい。1992年に一旦フォルクスワーゲンとの関係が解消されましたが、13年のブランクののち2005年に再構築して現在に至ります。過去約40年で多くのフォルクスワーゲンを販売させていただきましたし、メンテナンスや修理をふくめてお客さまとの関係が途切れたわけではありませんので、我々にはずっとフォルクスワーゲンというクルマに携わってきた自負と自信があります。

再編を経て江東支店はいまのカタチに
再編を経て江東支店はいまのカタチに
再編を経て江東支店はいまのカタチに
2020年にオープンしたばかりの「フォルクスワーゲン江東」ショウルームには、フォルクスワーゲン最新モデルをはじめ認定中古車まで幅広いラインナップを多数展示している。シーズンや天候に左右されない快適な屋内スペースで、ゆっくりとマイカー選びを楽しむことができる。
フォルクスワーゲンの世界観とヤナセ・クオリティをすべてのお客さまへ
フォルクスワーゲンの世界観とヤナセ・クオリティをすべてのお客さまへ
ショウルーム各階をつなぐエレベータードアには、これぞ“フォルクスワーゲン”というべきペイントと意匠が施されている。各フロアでカラーリングが異なる芸の細かさも。ちなみにエレベーター内部にも工夫が凝らされているので、ぜひその目でお確かめいただきたい。
フォルクスワーゲンの世界観とヤナセ・クオリティをすべてのお客さまへ
フォルクスワーゲンのオフィシャルライセンスを得て製造されたデザイン冷蔵庫。

フォルクスワーゲンの世界観とヤナセ・クオリティをすべてのお客さまへ

──世界的にも長いフォルクスワーゲンの歴史、そして長年のお客さまとの関係を受け継ぐ江東支店の存在はどういう位置付けでしょうか。

世界共通のフォルクスワーゲンCIが施されたショウルームですので、販売店ごとのイメージの差はほぼないと言って間違いないと思います。ただ、フォルクスワーゲンというブランドがもつ世界観はちょっとした小物や各所に散りばめられた遊び心のようなものであったり、長い歴史によって作られてきたものだと思います。そのおよそすべてを当ショウルームならご提供できるのではないか、と自負しています。

──ヤナセの色を出しにくいというジレンマはありませんか。

ヤナセの色そのものよりも、同じフォルクスワーゲンをどこで買えばいいかという選択肢の中で期待されるヤナセでありたいですね。過去の歴史や経験、積み重ねてきた信頼をふまえて、全国規模でセールスを行うことができる輸入車ディーラーとして“できる”サービスはまだまだあると考えています。

──全国で展開するヤナセショウルームが横軸で連携してくれれば、こんなに心強いことはありませんね。

ささいなトラブルであれば、全国のオールヤナセネットワークを活用して、お客さまのお力になれることがございます。その際は迷わずお電話ください。もちろんすべてのトラブルをフォローできるわけではありませんが、私たちにできることについては全力で対処させていただきます。江東支店のセールスも、過去にずっと単一ブランドで働いてきたわけではありませんので、幅広い知識でお応えすることができるはずです。

フォルクスワーゲンはみんなで作っていくブランド
いわゆる“当時モノ”の貴重なカタログが店内のショウケースに保存されている。「広告はアートであり、科学ではない」と宣言し、1960年代の広告界を席巻したアメリカのエージェンシー「DDB」。彼らが手がけた秀逸なデザインのカタログの数々、その日本版もまた必見だ。
フォルクスワーゲンはみんなで作っていくブランド
ショウルームの一角、フォルクスワーゲンオフィシャルグッズが並ぶ棚には子ども向けのアイテムがとても充実している。フォルクスワーゲンが考えるカスタマー像の中には、きっと「キッズ」も大切なポジションを占めているのだろう。未来のドライバーの姿が目に浮かぶ。
フォルクスワーゲンはみんなで作っていくブランド

フォルクスワーゲンはみんなで作っていくブランド

──高橋さんは、江東支店をどんなお店にしたいと思っていますか?

安心できるお店。この一語に尽きると思います。購入に際してもメンテナンスにしても、どこよりも「ヤナセに任せておけば安心だな」とすべてのお客さまに感じていただきたい。江東支店には、60年以上経過したクラシックカーから最新の現行車までじつに幅広いバリエーションのフォルクスワーゲンが展示されています。そんな多様なバリエーションも、お客さまに信頼していただくための良きアピールだと考えています。

──「きのう今日始めたわけではないのですよ!」ということでしょうか(笑)。大きな話になりますが、フォルクスワーゲンの魅力はどこにありますか。

戦後にヤナセが取り扱っていた輸入車の多くはGMでありメルセデスでした。それらはかなり高額だったので購買層も裕福な方が大半でしたが、時代の変遷とともに自家用車という存在がどんどん身近なものになっていくタイミングでもありました。そこで世界中のカスタマーの注目を集めたのが、ドイツ生まれのフォルクスワーゲンのタイプ1です。「このプライスなら買える」という夢を、みんなが共有できた最初のクルマでした。

──過去にタイプ1ほどリーズナブルなクルマはありませんでしたね。

フォルクスワーゲンの基本思想も時代とともに移り変わっていますが、根っこにある「たくさんの人に良いものをリーズナブルに」というコンセプトは普遍です。そのことをベースに、時代の要求に合わせて進化を重ねてきたフォルクスワーゲンですが、この先の新たな展開を作るのもまた私たちカスタマーだと思っています。

──フォルクスワーゲンは消費者の側にある、と。

そしてそれは、江東支店も同じことです。“これから”のフォルクスワーゲンをアピールするためには、お客さまといっしょに新しい方向性を探っていくことがきっと大切になってくるでしょう。「すぐれたクルマとは何か」が見えづらい今の時代こそ、フォルクスワーゲンの神話(ルーツ)が持つ意味を考え直したいですね。クルマの原点、とでも言いましょうか。ヤナセはこれからも、常にお客さまと歩調を合わせて進んでいきたいです。

ヤナセオートモーティブ 江東支店 / フォルクスワーゲン江東

フォルクスワーゲンが全世界で展開しているコーポレートデザイン「モジュラーコンセプト」に準じた白で統一されたショウルームに新車5台、認定中古車を最大35台展示。また、最新設備を導入したサービスワークショップは5ベイを備え、質の高い整備・修理技術を有する熟練度の高いスタッフが、お客さまの安心で快適なカーライフをサポートします。

住所
東京都江東区大島1-8-10
TEL
03-5609-7011

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