ショールームで手に入る小さな本物「純正ミニカー」の世界

現在では自動車メーカーの多くが、リアルで精巧な自社のクルマのミニチュアモデルを手掛けている。玩具店などで売られている子供向けミニカーとは一味異なる、大人のコレクション欲を満足させる「純正ミニカー趣味」のご提案。

2021年12月20日
文：長尾循
写真：雨田芳明

玩具店で扱われるミニカーとは異なる独自の仕様

自動車が発明された直後。今から100年以上前にはすでに玩具として作られ始めたと言われるミニカー。以来、自動車の発展とともに古今東西で夥しい数のミニカーが生み出されてきた。日本よりも一足早くモータリゼーションが発達した欧米では、すでに1960年代には自動車セールスの現場で”立体カタログ”として、ミニカーを活用することが一般的になり、それらのミニカーはプロモーションモデルなどと呼ばれ、ミニカーの中でもひとつのジャンルとなっている。自社のプロモーション用に用意されたそれら「純正ミニカー」は、現在では国産車メーカーも含め、多くのディーラーのショールームで取り扱われるようになり、メーカーのロゴ入りキーホルダーやアパレルなどと同様、クルマ好きにとってはお馴染みのアイテムとなっている。

「純正ミニカー」はいずれも、一般の玩具店や模型専門店などで発売されているものとはパッケージやボディカラーなどが異なる独自の仕様である場合も多く、中にはこれらを専門に集めているコレクターもいたりするほど。

「玩具店で扱われているミニカーは幼児が手に取ることを前提としているため、あえてドアミラーなどの突起を省略したり、ピラーを実車より太めにして強度を確保したりしているのだが、逆にディーラーで扱われる純正ミニカーは玩具とは異なる精密模型で、ほとんどのアイテムは対象年齢14歳以上となっている。いずれも「実車のプロモーション」という任務を背負って作られたミニカーだけに、正確なボディカラーはもちろん、小さなミラーやエンブレム、仕様によって異なるホイールや内装なども正確に再現されている。最新のミニカーの開発では、実車を3Dスキャナーでスキャンしたデータを縮小し、立体データ化するのだが、その際ただ単にデータを1/43や1/18にするわけではない。縮小することによってほとんど見えなくなってしまうプレスライン、実車とミニカーを見る場合の視点の違いなどを計算に入れた上で、微妙な”チューニング”も行われているのだ。実車のセッティング同様、この辺りの匙加減こそがミニカー設計者の腕の見せ所と言えよう。

ここからは、ヤナセが取り扱うメルセデス・ベンツ、シボレー、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェ、六つのブランドの「純正ミニカー」を、メーカーごとに現行及び比較的近年のモデル中心にご紹介していく。

ディーラーでは、様々な現行モデルが純正ミニカーとして取り扱われているので、例えば実車購入時にそのミニカーも一緒に手に入れれば、次の愛車に乗り換えた後も”自分のかつての愛車との記憶のよすが”としてずっと手元に残しておけるだろう。それらの純正ミニカーたちは、やがては自分だけの小さな自動車博物館になるかもしれない。今度の休日は、自分にとっての特別な1台を探しに、ショールームを訪れてみては如何。

メルセデス・ベンツ（1/18）

こちらはメルセデス・ベンツの現行SクラスとAクラス。スケールは1/18で、ミニカーとしては大きめのサイズを活かしてボンネットやトランクリッド、左右のドア全てが開閉する精巧なギミックを備えている。メーカー純正モデルならではの、シックなパッケージも魅力だ。

Mercedes-Benz S-Class ハイテックシルバー 1/18：16,500円（税込）
Mercedes-Benz A-Class デジタルホワイト 1/18：16,900円（税込）

メルセデス・ベンツ（1/43）

同じくメルセデス・ベンツだが、こちらはミニカーとしては最も標準的な1/43スケールのモデルたち。このクラスはドア開閉などの可動ギミックを持たないプロポーションモデルであることがほとんどだが、1/18に比べ手頃なサイズなので、台数を集めたいというコレクターにも人気が高い。一般的なセダン以外にもGクラス、メルセデスAMG GT Rクーペ、CLAシューティングブレークなど、豊富な車種が用意されているのも嬉しい。

Mercedes-Benz G-Class シトリンブラウン 1/43：7,150円（税込）
Mercedes-AMG GT R Coupé セレナイトグレーマグノ 1/43：6,600円（税込）
Mercedes-Benz CLAシューティングブレークポーラーホワイト 1/43：5,500円（税込）

ミニカーのスケールのこと

純正ミニカーも含め、コレクタブルアイテムとしての精密ミニカーは、世界共通の縮尺スケールに沿って作られている。現在では1/87、1/64、1/43、1/24、1/18が主な縮尺で、中でも世界的に最も標準的なサイズが1/43、そして最近ではその存在感の高さから、1/18スケールも数多くリリースされ、純正ミニカーの多くもこの二つの縮尺を採用している。例えば全長4.4メートルのメルセデス・ベンツAクラスの場合、1/43スケールでは約10cm、1/18では約24cmサイズになるわけだ。

ポルシェ

718ケイマン GT4と911 ターボ S クーペ（992）。いずれもスケールは1/43。歴代のポルシェはミニカーとしての人気も高く、数多くの車種がモデル化されている。いかにもポルシェらしい純正パッケージはやはり大きな魅力だ。

Porsche Cayman GT4 Kalender Edition ブラック 1/43：10,725円（税込）
Porsche Model car 911 Turbo S GT シルバーメタリック 1/43：8,360円（税込）

アウディ

アウディの1/43ミニカーたち。TT、R8、Q2、A1。実車の新型デビューとほぼ同時にミニカーがリリースされるというタイミングの早さも、メーカー純正ミニカーならではの利点。A1スポーツバックのミニカーもそんな1台。

Audi TT RS Coupé カタルーニャレッド 1/43：6,600円（税込）
Audi R8 V10 plus Coupé アラブルー 1/43：6,600円（税込）
Audi Q2 グレイシアホワイト 1/43：6,600円（税込）
Audi A1 Sportback パイソンイエロー 1/43：6,600円（税込）