スマートフォンで愛車と夜景をドラマチックに撮影する3つのヒント

SNSに愛車の写真をアップしたい。そう考えたとき、ほとんどの方は晴れた日中に撮影しているはず。でも、クルマの撮影には向かないと思われがちな“夜”に撮影すると、愛車は昼間とは全く違う表情を魅せてくれます。街の夜景を活かしたナイトシューティングのコツをプロに教わりました。

  • 2022年06月09日
  • 文:高橋 満
  • 写真:柳田由人

夜はクルマがいつもとは違う表情を見せてくれます

ドラマチックなクルマの写真が欲しい場合、プロのフォトグラファーはしばしば早朝や夜間に撮影します。理由は太陽光が横から当たる早朝はクルマの陰影がくっきりと出るため表情豊かな写真を撮ることができるから。そして夜もまた、ドラマチックな写真を撮影するのに絶好の舞台となります。

「スマートフォンのカメラ機能はモデルチェンジのたびに大きく向上。解像度が高い撮影ができるようになりました。機能も充実していて、夜間でも撮影しやすくなっています」

こう話してくれたのはSONY Xperiaのアンバサダーで、みずからを『スマホカメラマン』と名乗り撮影現場でもスマートフォンを積極的に活用している柳田由人さん。

そんな柳田さんに愛車をスマートフォンでナイトシューティングする際のヒントを教えていただきました。ほかの人とは違うイメージ写真が撮れるテクニックをご紹介します。

事前準備
撮影場所はさまざまな光がある商業地やオフィス街がおすすめ

撮影場所

夜に愛車を撮影する場合、夜景がキレイな場所にクルマを停めると画角の中にさまざまな色が入り込むことで、クルマにも表情が生まれます。都市部だと人通りが少ない時間帯の商業地やオフィス街がおすすめ。ただ、場所によっては撮影が禁止されている場合もあります。くれぐれも他者や他のクルマに迷惑をかけないよう注意しましょう。

カメラアプリの撮影機能

シャッタースピード

カメラ機能を高めたハイエンドモデルや夜景撮影機能を高めたカメラアプリではシャッタースピードや露出を任意に調整できます。スローシャッターで撮影すると周囲が動いたドラマチックな写真を撮ることもできます。

また、夜間の撮影ではスマートフォンが自動でISO感度を高くするので、全体的にノイズが入りザラついた写真になります。パソコンのモニターで拡大するとノイズは気になりますが、撮影した写真をスマートフォンで楽しむならノイズはそこまで気にしなくて大丈夫でしょう。

三脚を使用した撮影風景

三脚

夜間撮影では被写体がぶれてしまいがち。ぶれを避けたいなら三脚を活用しましょう。スマートフォンは軽いので安いもので大丈夫です。一方で三脚を使うとフットワークは悪くなります。あえて三脚は使わずいろいろな角度から愛車を撮ってみることでおもしろい写真が撮れることもあります。

撮影のヒント1
周囲の光を効果的に使う

街灯の明かりが当たる位置にクルマを停めた写真
街灯などがない場所に停めた写真

愛車は街灯の近くに停める

左の写真はほぼ真上から街灯の明かりが当たる位置にクルマを停めてみました。暗い中で光が上から当たると、ボディに陰影が浮かび上がり、抑揚感のある写真が撮れます。

街灯の明かりが斜めからボディを照らすとクルマの表情は変わってくるので、クルマを動かしながら撮影を楽しみましょう。

反対に街灯などがない場所に停めたのが上の写真。ボディラインは沈みますが、ぬめりのある艶めかしい写真を撮ることができます。

クルマに露出を合わせた写真
周囲が開けた場所で撮影した写真

露出を変える

左はページのトップ画像と同じアングルで撮影したもの。違いはトップ画像が後ろの夜景に露出(撮影時に取り込まれる光の量)を合わせているのに対し、この写真はクルマに露出を合わせていること。夜景に露出を合わせるとクルマの色は沈みますが街のイメージが強調され、反対にクルマに露出を合わせるとボディカラーなどを見せることができます。露出は撮影前に合わせたい場所の画面をタップして調整できます。

また、トップ画像はヘッドライトをオンに、左の写真はヘッドライトをオフにした状態で撮影しました。ヘッドライトを消すと静寂感のあるイメージ、点灯しているとクルマが停車していても動きを感じる写真になります。

  • 街灯が無いような暗い路上で停車する場合はハザードランプを点灯しましょう。

もし周囲が開けた場所を知っていたら、そこで撮影してみると街中とは全然違った写真が撮れるかもしれません。我々が撮影した日は街の明かりに照らされた雲がとてもきれいでしたので、あえて広い画角で夜景に露出を合わせて撮影し、怪しさを表現してみました。

この日は風が強く、雲がかなりのスピードで流れていました。それを見た柳田さんは「この場所では動画やタイムラプスのほうがおもしろいかも」とつぶやいていました。今回は写真撮影の企画なので静止画をお願いしましたが、夜景の撮影は写真と一緒に動画なども楽しめそうです。

観覧車のイルミネーションをボディに映した写真

撮影のヒント2
昼間ではできない画作りをしてみる

ボディへの映り込みを楽しむ

一般的にクルマの撮影ではボディをきれいに見せるために、映り込みを極力排除するアングルを探します。

でも夜景の中で撮影するのであれば、積極的に周囲の風景をボディに映してみると、昼間では絶対に見ることができないような華やかなカットが撮れます。今回は観覧車のイルミネーションを映してみましたが、高層ビルやネオンを映してもおもしろいでしょう。

インテリアを撮影した写真

インテリアを撮影する

ナイトシューティングの醍醐味は、夜景とエクステリアの絡みだけではありません。ディスプレイ、そしてアンビエントライトが照らし出すインテリアの撮影も楽しんでみましょう。

メルセデス・ベンツをはじめ、液晶ディスプレイなどが多用される現代のクルマのインテリアは夜に映えるデザインとなっています。昼間とは違った魅力を再発見できるはずです。

映り込みとインテリア撮影の合わせ技

これは映り込みとインテリア撮影の合わせ技。一瞬、何を撮影したのかわからないような意外性のある写真が撮れるのもナイトシューティングのおもしろさです。

ウインドウ越しに夜景を撮影した写真

ウインドウ越しに夜景を撮る

キャンピングカーでアウトドアを楽しんでいる方たちは、車内から見える大自然を撮影してSNSにアップしていたりします。クルマはインテリアが少し写っているだけですが、ものすごくドラマチックですてきな写真が多くあります。

夜景も同じ。クルマのインテリアを見せる形で撮影することで、ストーリー性のある写真になります。

走行中に夜景を撮影した写真

撮影のヒント3
夜だからこそできる“動き”を捉える

走行中に夜景を撮る

夜景がきれいな街中を走行していたら、ぜひ助手席から夜景を撮影してみましょう。暗い中での撮影なので一般的なスマートフォンでもシャッタースピードが遅めになります。そのため風景が流れたスピード感のある写真が撮れます。走行中は路面からの振動の影響でスマートフォンが動いてしまうので、脇を締めてがっちり固定しておくのがコツ。

遠くの夜景は流れづらいので、クルマの近くの夜景を狙ってみましょう。そして夜景と一緒にインテリアを入れると、動きの対比があるおもしろい写真になります。

スローシャッターで後ろを走行するクルマのヘッドライトを流したもの
自動設定で撮影した写真
左はスローシャッターで後ろを走行するクルマのヘッドライトを流したもの。同じ場所から自動設定で撮影した写真に比べ、幻想的な雰囲気になります。

スローシャッターを使って光の軌跡を捉える

ハイエンドのスマートフォンや夜景撮影機能を高めたカメラアプリをインストールしている方は、シャッタースピードを任意に設定して人間の目が捉えられないような写真を撮ってみましょう。

これは長時間露光と呼ばれるテクニックで、シャッターが開いている間のものの動きが記録されます。夜に動いているクルマを長時間露光で撮影すると、ヘッドランプやテールランプの軌跡のみ写るので幻想的なイメージになります。

シャッタースピードは1/10〜1/8くらいに設定するのがおすすめです。

流し撮りの写真

流し撮りに挑戦

走っているクルマに合わせてカメラを動かし、背景だけぶらすことでスピード感を表現する流し撮り。日中だとある程度の速度が出ていないと背景を流すことはできませんが、夜間ならシャッタースピードをかなり遅くできるので低速でもスピード感のある写真を撮影できます。右の写真はクルマがゆっくり走り出したところを撮影しています。

流し撮りはプロのフォトグラファーでも慣れていないと思いどおりに撮れないもの。コツは左手でスマートフォンをしっかり固定し、平行移動を意識しながらクルマが常に画面中央にあるように動かすこと。シャッタースピードは1/30〜1/15くらいに設定するのがおすすめです。

意外性のある写真が撮れるのも楽しみのひとつです!

ナイトシューティングは日中とは違うクルマの表情を撮ることができるのが魅力。一方で難しい撮影環境でもあるので、ぶれや画像のノイズなど、昼間の撮影では気にならなかったものが見えてくるケースもあります。

ぜひ難しさも含めて楽しんでみてください。たくさんシャッターを切っていくと、想像もしなかった写真が偶然撮れることがあるはず。そんな意外性もナイトシューティングの魅力です。

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