INTERVIEW 水上貴夫さん(『EVEN』メディア統括マネジャー)
年間150日ゴルフ場に通う毎日を支える一台
「編集長時代は、朝イチのアーリーバードで千葉のゴルフ場に入り、ナイターまでラウンドを重ねてから、そのまま河口湖へ移動してホテルで原稿確認、翌朝は再び撮影ラウンド、なんていう日も少なくなかったんです」。
そう笑って振り返るのは、水上貴夫さん。ゴルフライフスタイル誌『EVEN』の編集長を14年間務め、現在は(株)アディックスで発行される4媒体のメディア統括を担う。とはいえいまも週2日以上は必ずゴルフ場へ足を運ぶというのだから、ライフスタイルの中心に“移動”があることは今も変わらない。そんな水上さんにE 220 d Stationwagon AVANTGARDE(ISG搭載モデル)に試乗いただいた。
- 2025年09月18日
- 構成・文:前田陽一郎(SHIRO)
- 写真:高柳健



「移動することが仕事」というライフスタイルが必要とすること
「編集長時代には撮影や取材のために年間150日は各地のゴルフ場に通いました。年間の走行距離は最低でも3万キロ。そうしたゴルフ場通いに加えて、最近はコロナ以降に定着した“スループレイ”の文化も加わって、ラウンド後にランチもお風呂もとらずにオフィスに戻って仕事なんていうことも当たり前になりました。移動そのもののストレスもそうですが、リカバリータイムとしての移動時間という考え方も自分のなかに生まれつつありますね」。
水上さんにとって、車は“単なる移動手段”ではない。職業もライフスタイルも、そして人生そのものを支える「仕事の相棒」であることは間違いない。
「名門と呼ばれるゴルフ場にはとにかくメルセデス・ベンツが多い。これは誰もが感じる事実だと思うんです。ではなぜメルセデス・ベンツが選ばれるのか。そこにはブランドバリューだけではない、それ相応の理由があるはずなんじゃないかと」。


第一印象に漂う“重厚感と軽快さ”――
新世代Eクラスの走り
格納式のドアハンドルに手をかけ、ドアを開けた瞬間に水上さんの口から「やっぱりメルセデスらしいですよね」という言葉が。ヒンジの動きや開閉音に漂う重厚感。かつてCクラスも愛用していた水上さんにとっては、馴染み深い感覚でもあるようだ。
ところが走り出すと、その印象は一変する。「アクセルを踏んだときのレスポンスが驚くほど軽いですね。ディーゼルの力強さに加えて、すごくフットワークがいい。街中でもストレスがないし、ゴルフ場までの高速道路ならなおさら頼もしいと思います」。
E 220dに搭載されるのは、1,992cc直列4気筒ディーゼルターボ(654M型)と48Vマイルドハイブリッドシステムの組み合わせ。エンジン単体で最高出力197PS/最大トルク440Nmを発揮し、さらにモーターがアシストする。軽快さの裏付けは数値にも表れている。
「お話ししたように、とにかく距離を乗るので燃費や環境性能も気になります。その点、この車はWLTCモードでリッター18.2kmと諸元表にあるように、かなり優秀ですし、長距離移動が多い僕にはありがたいですね」。
高出力と低燃費の両立、そして滑らかな9速ATによる快適な加速感。水上さんが感じた「重厚感と軽快さの両立」は、このスペックに支えられている。


若々しく進化したデザインと、内装に込められた哲学
「全体の印象として“若返ったな”と思いますね。自分が歳を取ったわけじゃないと思いますが(笑)、以前よりもデザインアプローチがあるというか、遊び心を感じます」。
そう評した外観は、確かに従来のEクラスのイメージを刷新していた。フロントグリルやリアランプにはスリーポインテッドスターをモチーフにした意匠が施され、複雑な面構成をシンプルに見せる造形は、若々しさと洗練を同時に演出している。
「サイドビューのラインも実はすごく複雑なんですが、見た目にはとてもシンプルに仕上げている。そこに“引き算の美学”を感じますね」。
インテリアでの驚きは、何よりエアベントだ。これまでメルセデスの象徴だったジェットエンジン風タービンのデザインが消え、細いスリットの奥に隠された。
「個人的にはタービンのようなデザインが好きでした。でも、高級ホテルや旅館でもエアコンの吹き出し口は必ず隠されていますよね。トレンドとしても、そして高級感という観点からも、正しい進化だと思います」。
高解像度のワイドスクリーンや最新のMBUXインフォテインメントシステムと相まって、シンプルで上質な空間に仕上がった室内。水上さんは「まるでラグジュアリーホテルのラウンジにいるよう」と評した。


ゴルファー目線で見る積載性と日常使い
「分割式リアシートを倒せばツアーバッグが3本入る。ドライバーを抜けば4本も可能。スタンドタイプなら余裕で4本いけます」。
現在の水上さんにとって、積載性は車選びの重要な基準だ。撮影機材や衣装を積み込むことも多く、ゴルフバッグが常に複数本、標準装備のように後席に収まる容量はシンプルに「助かる」という。Eクラスのトランクは、実測でも十分な容量を誇る。
「スループレイが主流になった今は、ラウンド後すぐにオフィスに戻ることも増えました。そういう時に、ゴルフバッグを積んでいてもビジネスに使える品格がある。これが強みですよね」。
移動距離が多く、仕事もゴルフも両立させるライフスタイルにおいて、実用性と品格のバランスこそが最大の価値だ。


ACCと運転支援への期待、そして“理想の一台”へ
今回の試乗ではACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を実際に試すことはできなかったが、水上さんはカタログ資料を見ながら「期待は大きい」と目を輝かせた。
「長距離移動での疲労をどこまで軽減できるかが、いまの仕事柄、とても大きなポイント。Eクラスは車線維持支援や自動ブレーキ、ブラインドスポットアシストなども備わっているので、ACCと組み合わせれば、これまで以上に安心して移動できるはずです」。
「かつてほどは走らなくなりましたが、今も4誌を束ねる立場として“移動することが仕事”であることに変わりはない。そういう意味では、これはまさに理想の一台です」。
重厚なドアの開閉音に始まり、軽やかなアクセルレスポンス、若々しく洗練されたデザイン、そして実用性に裏打ちされた積載性と燃費性能。Eクラスは、水上貴夫さんのように「走行距離そのものがキャリアの一部」というライフスタイルを送る人にとって最上のパートナーだろう。
「移動することが仕事」という言葉は、水上さんのこれまでを端的に表すフレーズであると同時に、当たり前の日常そのものを示している。新世代のEクラスは、人生を共にする“相棒”としての存在感を確かに示したようだ。