INTERVIEW 市村広平さん(『LEON』編集部員、一級建築士事務所代表)

人生を楽しむ大人のための、普遍の一台だと思います

今回試乗を行ったのはメルセデス・ベンツが誇るグランツアラー、Mercedes-AMG GT 43 Coupé。試乗してもらったのは大人の男性の高級ライフスタイル誌、『LEON』のファッションとクルマを担当し、自身が立ちあげた一級建築士事務所の代表も勤める市村広平さん。クルマ担当としてあらゆる自動車メーカーの試乗会に参加し、記事作りのために毎月数百キロを走行、インプレッションも行う。一方でより深く富裕層マーケットを理解し、ビジネスチャンスに繋げたいと、一級建築士事務所を設立し、自身が代表も兼任する。ファッションからクルマ、そして不動産というさまざまな視点からMercedes-AMG GT 43 Coupéはどう映っているのか、聞いた。

  • 2025年10月23日
  • 構成・文:前田陽一郎(SHIRO)
  • 写真:高柳健

「AMG GT」は、
誌面にも度々登場してきた象徴的存在

「25歳で『LEON』の編集部に入ったときは、編集経験もなく、まったくの素人でした。経験がないうえに、ファッションにも詳しいわけでもなく、ましてやターゲットが“40代以上の富裕層”ですから、何を提案していいかなんて想像もできませんでした。入って数年は先輩編集者のアシスタントとしてとにかく走り回る毎日でした。それから15年。今年40歳になり、誌面のクルマ記事を担当できているのは本当に恵まれていると思います」。
クルマ担当として、誌面に登場する国内外メーカーの発表会や試乗会に足を運び、誌面とウェブでインプレッションを発信している。毎月の人気連載「しあわせグルマ」では、広報車を借り受けて、カメラマンを横に、自走で数百キロを走り、宿泊先の取材まで行う。その準備から撮影のディレクションまでを一手に担うのだから、まさに「移動と取材が仕事」だ。
「これだけ走っていると、やはり“疲れないクルマ”は印象に残ります。と同時に、LEONという雑誌の性格上、誌面を割いて読者に紹介する車両は、ファッショナブルか否かも重要なポイントです。その意味で、グランツアラー(GT)というカテゴリーは特別な存在ですね。長距離を快適に走れることはもちろん、積載力もあり、なおかつ美しさまで備えていることを求められるカテゴリーですから」。

街中から高速、
ワインディングまでの最適バランス

今回市村さんが試乗したのは、最新世代のAMG GTシリーズの「GT 43 Coupé」。2024年に登場した2代目GTの中では比較的手が届きやすい価格帯に設定されながらも、むしろバランスの良さに定評があるモデルだ。
「GT 43 Coupéは、現行モデルのなかではもっとも排気量の小さいモデルになりますが、とはいえAMG GTの名を冠するだけの“らしさ”はしっかりと持ち得ています。数字だけを見れば、上位のGT 63に比べて控えめですが、実際にステアリングを握ってみると、このモデルもやはりGTの直系であることに気づきます」。
搭載されるのは、1991cc直列4気筒ターボエンジンにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を組み合わせたユニット。最高出力421ps(310kW)/6750rpm、最大トルク500N・m/(5000rpm)を発揮。最高速は280km/hに達する。確かにV8を積むGT 63の圧倒的なパワーには及ばないが、実際の道路環境では十二分に性能を体感できる。
「GT 43のスペックは、日常使いを前提に考えれば、必要にして十分です。いや、本気で踏めるかといったら躊躇するだけのポテンシャルを秘めています。街中から高速、ワインディングまでをバランスよくこなせる。闇雲にモアパワーを求めるのではないインテリジェンスさえ感じます」。

時代を超える普遍の色気と近未来感を感じます

ドアを開け、低い着座位置に腰を下ろすと、AMG GT独特のタイトなコクピット感が体を包む。ワイドなダッシュボードとセンターコンソール、MBUXを搭載したデジタルインフォメーションは、モダンでありながら直感的に操作できる。それらはアンビエントライトによる室内演出と相まって、妖艶ささえ感じるそう。
「LEONではたびたび大人の色気について、ときにシリアスに、ときにお茶目に表現しようとしているのですが、AMG GTにはエクステリアからもインテリアからも、色気を感ぜずにはいられません」。
カーデザインにはしばしば“色気”という表現が使われるが、それは男性的であったり女性的であったりするもの。だが市村さんはAMG GTをして「その両方を感じさせる稀有な存在」という。
「言うまでもなくロングノーズにショートキャビンというデザインコードは、力強さと色気とエレガンスを具現化するカーデザインの基本です。そこにAMG GTは低く構えたフロントに男性的精悍さを、サイドからつながるリアへのラインには女性的ふくよかさを与えています。一方で、曲面を多用したインテリアは性差を超えた色気というか、近未来的な艶やかさを感じます」。

快適性と実用性まで兼ね備えた完璧な一台

走りの実力に加えて、市村さんが注目したのは快適性と実用性だ。
「運転席に座ると視界が低く、スポーツカーらしい没入感がありますが、不思議と圧迫感はないんですよね。シートは体をしっかり支えながら柔軟で、長時間のドライブでも疲れにくい。遮音性も高く、会話や音楽を楽しみながら移動できそうですね」。
さらに、Mercedes-AMG GT 43 Coupéはリアシートを備える。身長制限はあるものの、人が乗れるスペースが確保されており、荷物置きとしても便利だ。
「リヤシートを倒すとゴルフのツアーバッグが2本積めるだけのスペースが確保できるのはGTならではですね。ゴルフも好きなので、この実用性は嬉しいです。GT=グランツアラーを名乗る以上、“旅の道具”としての使いやすさは重要だと思います」。
また、ドライバーアシスト機能も充実している。アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック、などレーダーセーフティパッケージが備わり、長距離移動での疲労を軽減する。
「ナンパな表現かもしれませんが、こんなに完璧なデートカーはないですよね。色気があって、扱いやすくて、でもいざという時には頼りになって、休息時間まで提供してくれる上に、時代を経ても古びない。誌面で何度となくお借りして、撮影もさせていただいていますが、あらためてこうしてお話ししていると、この一台にモテる大人のエッセンスがすべて詰まっているように思えてなりません」。

古びないのは性能とデザインの完璧なマッチング

AMG GTは2014年の初代登場から10年を経て、2代目に進化した。その間も初代は人気を維持し続け、現行モデルはさらに新鮮に映る。
「ライフスタイル誌というジャンルで15年間に渡り、ファッショントレンドやあらゆる流行に触れてきました。その間に世間の価値観やものの見方、格好いいとか美しいとかの基準も驚くほどに変わりました。女性であれば、15年前のメイクアップと現在ではあまりの違いですよね。男性のスーツも同じです。僕が編集部に入った頃のスーツは体に張り付くようなタイトなものでした。ところが現在はずっとリラックスした素材やサイズへと移行しています。興味のない人からすれば普遍と思われるかも知れないスーツにも、明確な時代の流れがあるんです」。
「そのなかでAMG GTが古びないのは性能とデザインの完璧なマッチングのうえに、普遍の色気を纏っているからだと思うんです」と市村さん。
「僕が所属しているLEONは年齢に抗うのではなく、いつまでも人生を謳歌しようとしている男性のための雑誌です。その雑誌においてAMG GTがあらゆるオケージョンで登場するのは必然だということにあらためて気付かされます。40歳になったいま、まだ僕には少し背伸びしたクルマかもしれませんが、憧れで終わりたくはないですね」。

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