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真夏の富士で味わう、Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+の上質な走り

富士山周辺には、富士スバルライン以外にも気持ちよく走れる道がたくさんあります。観光を楽しみながら木漏れ日の中を静かなEVでドライブするのは、優雅な時間になるはずです。

  • 2023年07月27日
  • 文:嶋田智之
  • 写真:阿部昌也

道の駅 かつやま

富士山周辺の名物であるほうとう鍋(1300円)や道の駅かつやまの名物であるイトリキカレー(900円)などを楽しめます。
道の駅 かつやまに設置される急速充電器は50kWが1台。Mercedes me Chargeにも対応しているので安心!
売店には地元の名産品や民芸品が並びます。7月以降は富士山麓で育った高原野菜やフルーツなども店頭に並びます。
目の前は湖畔沿いに広がる小海公園。充電が終わるのを待つ間、ここでのんびり寝転がって過ごすのも気持ちいい時間です。

道の駅 かつやま
山梨県富士河口湖町勝山3758-1
開設時間 9:30~16:00(平日) 9:30~16:30(土日祝日)
※駐車場、急速充電器、トイレは24時間利用可能
http://www.katuyama.info/station/

充電スポットが豊富な
富士山はEVフレンドリーな
ドライブコース

ほとんどクルマが停まってない五合目・吉田口の駐車場にクルマを停め、風景の素晴らしさを堪能しながら軽く休憩した後は、富士スバルラインを下ります。

麓にある“道の駅 かつやま”に急速充電器があるので、念のために充電していくことにしました。遅めのランチをササッと食べ、軽く散歩して30分。充電ができたので、安心しての再スタートです。実は富士河口湖町と富士吉田町を合わせると10箇所の急速充電スポットがあって、山梨県内には276箇所の急速充電器があることが、道の駅 かつやまの充電場所に貼られた案内でわかりました。山梨県は望外にEVに優しい地域なのかもしれませんね。

その後、関心のあったラグジュアリーヴィラに立ち寄りました。全てのヴィラから富士山が眺められ、大窓の向こうに富士山を眺めながら入浴できる温泉施設もある、くつろぎの場です。もちろん静寂に満ちた環境も、施設のうち。こうしたところにエキゾーストノートの大きなクルマで入っていくのは、今の時代、ちょっと気が引けるもの。音らしい音を立てないEVは、その雰囲気を壊しません。大人としての最良の振る舞いができるクルマ。そう感じたことを書き添えておきましょう。

THE SENSE FUJI

2023年4月にオープンした、富士山の雄大な姿を間近で楽しめる大人のラグジュアリーヴィラ。広大な敷地につくられた15棟のヴィラは、全室富士山ビューで設計されています。部屋は2人でゆったりすごせるテラスヴィラ、4名で過ごせるタイプも用意されたスイートヴィラ、プライベートサウナを備えたサウナヴィラの3タイプ。お風呂は各棟に温泉を引いた内湯のほか、富士山を大パノラマで望める貸し切りの温浴棟が用意されます。
スイートヴィラDXタイプのリビング。スイートヴィラの4名タイプと同じ広さのヴィラを2人で贅沢に使えます。隣接する富士レイクサイドカントリー倶楽部をはじめ近隣には名門ゴルフコースが多くあります。
ディナーはバーベキューと鍋からチョイス。ディナーとモーニングはヴィラのテラスで専属スタッフが腕をふるってくれます。ワインリストも種類が豊富。(写真:中村彰男)

THE SENSE FUJI
山梨県南都留郡鳴沢村字富士山8545番5
https://www.thesense.jp/fuji/

静かでジェントルな走りを
堪能できるEQEでの
ハイウェイクルージング

都心と富士の往復は、もちろん高速道路を利用しました。その道中は、とてもリラックスできる時間でした。スペックから想像できるとおり強烈なポテンシャルを秘めたクルマではあるのですが、その強靱なパワーとトルクを“ゆとり”として使うことができるからです。

走行モードは「Comfort」、「Sport」、「Sport+」、「Individual」、「Slippery」、5つ。こうした場面で選ぶのは、言うまでもなく「Comfort」です。このモードでは出力が80%に抑えられるということですが、もちろんそれでも何ひとつ不満はありません。「Slippery」ではそれが50%に制限されるそうですが、それでもまったく問題など感じられないくらいです。いったいどれほどの底力を秘めているのでしょうか。

と、知らないふりをするのはフェアじゃないですね。いや、実際のところEQE 53 4MATIC+のパフォーマンスは、筆舌に尽くしがたいレベルにあるのです。AMGダイナミックプラスパッケージの仕様でモードを最もパワフルな「RACE START」にし、アクセルペダルを強く踏み込むと、異次元と言っても過言じゃないほどの世界に瞬時に叩き込まれます。いわゆるオーバーブーストのような状態になり、最大出力は505kW(687ps)、最大トルクは1000N・ mまで跳ね上がるのです。

内燃エンジンのクルマでは“吹け上がりが鋭く、それにともなってパワーがメキメキと”みたいな表現の仕方をすることがありますが、このクルマの場合はそんなまどろっこしい感じではありません。いうなれば爆発。トルクが瞬間的に炸裂するような感覚をともなって加速していくのです。ステアリングを握っているドライバー本人は充分に身構えているはずなのに、それでも腰や背中ばかりか頭蓋骨まで後ろに持っていかれてヘッドレストに押し付けられるかのよう。慣れない人だと怖さすら感じられるかもしれません。

さすがだと感じられるのは、そうした場面でも4本のタイヤががっちりと路面を掴み、ホイールスピンの気配すらなく、安定して加速していくこと。盤石の安定感には、さすがメルセデス、さすがAMG、とただただ感服させられるばかりです。

けれど、今回は旅の目的が違います。モードを「Comfort」に入れたまま、高速道路の区間では回生を先行車の速度をモニタリングしながら行うインテリジェント回生にセットしたり、抜群にできのいいクルーズコントロールを活用したりしながら、穏やかに走ります。

乗り心地は、パフォーマンスに合わせたファットなタイヤを履いているわりにはゴツゴツした感触を伝えてこないし、サスペンションそのものも良く動くから、極めて良好と言える部類。シートも、ホールド性、座り心地ともに優れていて居心地がいい。タイヤのノイズもあまり入ってこないし、エアロダイナミクスに徹底的な配慮をはらっているボディは風切り音を生み出すこともなく、車内は極めて静か。メルセデス・ベンツがコンフォートなクルマの作り方に長けていることはわかっているのですが、それでもその快適さには唸らされます。ストレスフリーとは、まさにこういうことなのでしょう。

朝に東京を出発し、日が暮れる前に東京に帰着する。Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+による富士山ドライブは、途中で予備的な1回の充電を挟んでも、まったく余裕でこなせるショートトリップでした。しかも素晴らしく安楽で、疲れの少ないドライブ。優れたクルマであればという前提条件のようなものはつくのかもしれませんが、今やEVでもそういうことができる時代です。メルセデス・ベンツのEVが優れていることは、僕があえて言うまでもなく皆さんがご存じのとおり。ゼロエミッション車のみ走れる道の爽快さも込みで、ユーザーの方にはぜひとも走ってみていただきたいルートだな、と感じています。

今回の取材車両

Mercedes-AMG EQE 53 4MATIC+

2022年9月に日本デビューしたメルセデスEQのミドルサイズセダン。ラインアップは後輪駆動のEQE 350+と、AMGによるハイパフォーマンスモデルとなる四輪駆動のMercedes-AMG EQE 53 4MATIC+の2種類。美しく孤を描く流麗なルーフラインや、ショートオーバーハング・ロングホイールベースのEVらしいプロポーションが独特の存在感を醸し出します。

Navigator

嶋田智之

モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。

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