INTERVIEW 櫻井貴史さん(モデル)

EQBがスタイリッシュに映るのは
すべてが「クリーン」だからだと思います

メルセデス・ベンツにおけるEQシリーズは高度に制御されたモーターはじめ、エクステリア・インテリアのデザインに至るまで、あらゆる側面から未来のモビリティを予見させる。ではEQシリーズに漂う時代感はどこから来るのか。それは数で現すことのできない感覚値。今回は時代によって移り変わっていく感覚値を常にキャッチし、25年に渡ってトップモデルであり続けている櫻井貴史さんをゲストに、EQBが纏う時代感について伺った。

  • 2023年08月31日
  • 文:前田陽一郎
  • 撮影:高柳健

オンとオフの切り替えのためにも
あらためてクルマが気になる

今回試乗したEQBは、すでに既報(https://www.yanase.co.jp/original/202210/01.html)のとおり、EQC、EQAに続くメルセデス・ベンツの第3のEVシリーズとなる。そのモデル名からも連想される通り、EQBはメルセデス・ベンツにとってのSUVシリーズであるGLBのいわば兄弟のような関係にあたる。プラットフォームを共有し、インテリアもほぼ同様のデザインのうえに、GLB譲りの3列シートも備えていることからも、およそクルマとしての成り立ちはGLBをイメージしておいて間違いはないだろう。とはいえ、メルセデス・ベンツにおけるEQシリーズの役割は大きい。それは次世代モビリティのあり方を考える上で避けては通れないモーター駆動という選択肢の現在進行形を示すものであり、いわばトレンドの最前線でもあるわけだから。

一方で、今回のゲストにお招きした櫻井貴史さんは冒頭でも触れたように、40代半ばにしてすでに25年のキャリアをもつメンズファッションモデル。移り変わりの激しい世界で、おもに雑誌や広告を軸に、求められ続ける存在でいるためには、時代が求めるイメージに自身をアジャストさせられる感性と才能がなくてはいけない。そんな櫻井さんの目から見たEQBとはどんな存在か。

「いまちょうどクルマを購入しようと検討中で、仲間や知人に聞いて回っているところなんです。最近、これからの自分を自己責任でクリエイトしてくために独立したんです。事務作業も含めてさらに自分と向き合う時間が増えると、オンとオフの切り替えが大切になってきて。そんなときに気分を変えてくれるのがクルマなんじゃないかなと思って」

もちろんその選択肢のなかに最新のEVも入っているようだが、EQBをはじめ本格的にEVを試乗した経験はないとのこと。

「友人のスタイリストがGLBを所有していて、運転したことはないんですが、何度か乗せてもらいました。こうしてハンドルを握っていると、これがエンジン車なのか、EVなのか、ほとんどわからないものですね」

適度に未来思考のインテリアと
優しい印象のエクステリア

櫻井さんの感想は当然だろう。モニターの表示は当然EQB専用のそれながら、メルセデス・ベンツならではのハンドル右手にあるセレクターレバーの配置やその触感、センターコンソール上のハンドホルダー、ジェットエンジンのタービンをイメージさせる象徴的なエアアウトレットなど、現在のSUVシリーズのデザインコードを共有するインテリアは、適度にフューチャリスティック(未来的)な演出に留められている。

「この適度な未来感がいいですね。もちろんクルマ文化を作ってきたメルセデス・ベンツですから、さらに未来のモビリティのあり方を見据えたデザインも登場してくるのでしょうけど、ファッションはここへきて若干クラシックへの回帰傾向もありますからね。今日の服装は全て個人私物ですけど、このシルエットって、僕がモデルを始めた頃のシルエットですから。デザイントレンドやファッショントレンドは常にリフレインします。EVという駆動力にちょっと懐かしいインテリアなんて、とても今っぽいじゃないですか」

一方で当サイトのGLBのインプレッション(EQシリーズに加わった、ミドルサイズの3列シートEVという新たな選択肢)で自動車ジャーナリストの嶋田智行さんはGLBのエクステリアを「優しげ」と表現されているが、

「はい、僕も同様の印象です。ファッションはここ20年をかけてタイトに、シャープに、という大きな流れのなかにいました。年を追うごとにスーツのサイズが小さくなっていくからわかるんです。ところが数年前からその傾向とは逆の感覚になったんです。徐々に肩周りや腹回りの締め付けが弱くなり、それに伴って肩のラインは丸く、ウエストにもゆとりが生まれるようになりました。そうなるとポーズや表情も変わるもので、男らしく、とか険しい感じよりも、軽やか、柔軟、優しい感じ、なんてキーワードがポージングの時にも現れてきます。じつは同様のイメージをEQBからも感じられます」

その印象は主にどこから。

「やっぱり顔まわりでしょうか。まず線が少なくて、シンプルですよね。さらに横に走るメッキの直線が、まったく主張せずに曲線のポイントになっているところ。ルーフのラインも丸いですし、サイドの直線部分も全体に丸い印象なんですよね。だから“優しげ”に見えるんじゃないですかね」

EQBを手にすることで、
ライフスタイルまで変わるかも

さて、セレクターレバーをDに押し込み、ブレーキから足を離すと、小さなモーター音とともにEQBが走り出す。まだ早朝の東京タワー周辺は通行量も少ない。櫻井さんに信号停車状態から少し強くアクセルを踏んでみてもらった。

「うわ!加速感がすごいですね!ふだん運転しない自分からすると、ちょっとびっくりします」

試乗車は前輪駆動のEQB 250。フロア下に66.5kWhのリチウムイオンを搭載、新設計のモーターで前輪を駆動させ、最高出力140kW、最大トルク385N・mを発生する。こちらのフル充電状態からの走行距離はWLTCモードで520kmとなる。エンジンの回転運動とギヤの連動によって徐々に加速していく感覚と、シームレスにパワーを発揮するモーターではその加速感に違いを感じるのは当然だ。

「僕のように日常の足から、休日の気分転換の相棒としての用途なら十分です。キャンプなんかも興味はあるんですが、こういうクルマを手にしちゃったからこそ行きたくなったりするのかもしれませんね。これ一台あればなんでもできそうな期待感がSUVの人気の理由でしょうね。それにしても荷物がなければさらに後ろに席が2席用意できるなんて!」

時代が求める「クリーン」なイメージこそが魅力

ところでファッション業界といえば、あらゆるトレンドの牽引業界であり、環境問題なども関心のある人たちが多いように映るが。

「撮影の最中はワイワイと他愛もない会話しかしないものですが、時事的な話や環境問題なんかはロケバスの中だったりヘアメイク中に話題になったりはしますね。もちろんEVがそのきっかけになることも多くて、こうしてEQBを運転した感想も聞かせて、という仲間が何人かいます」

ファッションやトレンドという視点で見た時のEVとは。

「ファッションが常に半歩先の存在だとするなら、EVは間違いなくファッショナブルな存在だと思います。こうしてEQBに試乗させていただいていても、どこかトレンドの中心にいる感じがしますよね。適度にフューチャリスティックなインテリアと優しげな印象を持ったエクステリアの話題になりましたけど、結局それらはすべて「クリーン」がゆえに「今っぽく」映るし、ときにスタイリッシュに見えるのかもしれませんね」

クリーン。櫻井さんの話を要約すれば、適度に未来的なものも、軽快さや柔軟さ、優しげな印象などすべて、時代が求めるキーワードで、それらをまとめると「クリーン」なのではないか、ということだそう。「環境問題やエネルギー問題はまだまだ勉強不足です」という櫻井さんだが、時代が求める「クリーン」なイメージこそがEQBの本質的な魅力といえそうだ。

2023年5月、櫻井さんは初のフォトブックを発売(『COMPOSITE』玄光社)している。フォトブックの中には10代から40代の櫻井さんが登場するが、そのどれもがスタイリッシュに映るのは、櫻井さん自身のクリーンなイメージがそうさせるのかもしれない。次回お会いする際にはぜひEQBで登場いただきたい。

新しい時代の、自由のかたち。 The EQB

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