INTERVIEW 村上忠正さん(スタイリスト)
誰かと同じではなく、自分のスタイルに染められる
僕にとって完璧な一台です
朝の人気情報番組『めざまし8』でメインキャスターを務める谷原章介さん。その谷原さんの日々のスタイリングを担当するのが、スタイリストの村上忠正さんだ。職業柄、車には膨大な量の洋服を積載して都内を移動するのが常だというが、その愛車はBMW 320d xDrive ツーリング M Sport。マルチパーパスカーとしてはSUVが圧倒的人気を誇るいま、なぜツーリングワゴンを選んだのか。大の運転好きを自認する村上さんに、BMWのファッション性という視点も踏まえて、その魅力を伺った。
- 2024年11月21日
- 文:前田陽一郎
- 撮影:高柳健
むしろ大切なのは
1日の大半を過ごす“走っている時間”
谷原章介さんからの信頼も厚く、すでに20年近く出演番組のスタイリングを担当されている村上忠正さん。じつはメンズファッション業界ではその名前を広く知られる存在だ。子供の頃からファッションが好きで、10代の終わり頃にはすでに有名スタイリストのアシスタントとして現場に入っていたほど。以来数々のメンズファッション誌を舞台に活躍、トレンドの先端でのキャリアは33年になる。「個人的にはトレンドは加味しながらも、流行りモノが好きなわけではない」そうだが、スーツを中心としたドレスクロージングと古着やカジュアルアイテムを組み合わせた独自の「リアルスタイル」を信奉する編集者や業界関係者は多い。そんな村上さんの現在の愛車はBMW 320d xDrive ツーリング M Sport。
「2022年に購入して、すでに40,000kmを超えました」というように、洋服のリースと返却、撮影現場への移動など、生活の大半をクルマと過ごしている。加えて村上さんは本人が自認するほどの「運転好き」。
実際のところ、これまでに乗り継いできたクルマたちもフィアット・パンダ4×4に始まり、ランチア・デルタ・インテグラーレ、メルセデス・ベンツ C200 コンプレッサー、アウディ A4 アバント、同じアバントのSライン、アウディ Q5など、運転すること自体を楽しめそうなモデルラインアップだ。それにしても仕事柄、もっと積載量の大きい車を選んでもよさそうだが。
「そもそも“誰かと同じ”ということが嫌だというのはありますね。スタイリストという職業柄、大量に洋服を運ばなくてはなりませんが、それも工夫次第。歴代の愛車で困ったことはないですから。もちろん今もそう。室内をきちんと整理して、荷かけ用のフックなどを増設すれば、実は積載量で困ることなんてほぼありません。必要にして十分なスペースがあれば、むしろ大切なのは1日の大半を共にする“走っている時間”なんです」
とにかく完璧な一台。
買ってから目移りしたことは一度もないです
仕事がオフの日には趣味のサーフィンを楽しむ。もちろんお供は320d xDrive M Sportだそうだが、キャリアなどは付けない主義だそう。
「サーフィンも10代の頃から変わらず楽しんでいますが、サーフボードをキャリアに積むのはちょっとミーハーな感じがして、あまり好きじゃないんです。ずっとショート(5.6フィート)なので大抵の場合は室内に入っちゃいますし」
スタイルとして「趣味じゃない」と言いながら、サーフボードをキャリアに積んでいると楽しく走れないことも理由だそう。それほどまでに移動する時間の楽しみは村上さんにとって大切な時間のようだ。それでも仕事と趣味を考えるとやはりSUVに目移りなどしないものか、と尋ねると…。
「逆になぜみんなSUVなのか、僕にとっては疑問ですね。荷物はむしろツーリングワゴンの方が出し入れしやすい(BMWの歴代ツーリングモデルはリヤハッチとガラスゲートの2分割式で便利と定評がある)ですし、容量も十分じゃないですか。以前に乗っていたアウディのQ5もいい車だったんですが、もっとスポーティな走りが欲しくなってきちゃったんですよね」
「おそらく一般の方よりもクルマと過ごす時間が長い分、運転する楽しさに敏感なのかもしれないです。とくにこのクルマに乗るようになってからそうは思うようになりました。ノーズがすっと思った方に向く感じとか、4輪駆動のそれぞれのタイヤがグリップする感じとか、車重バランスが限りなく50:50であることも感じられますからね。とにかく完璧な一台。買ってから目移りしたことは一度もないです」
駐車場に困るようなことも一度もない
あらゆる点でスマートです
「僕が320d xDrive M Sportを「完璧な一台」と思えるのは走りの良さに加えてもうひとつ、ディーゼルエンジンであることです。あらゆる次世代技術が試されている現代ですが、BMWのつくるディーゼルエンジンは静かなうえに、自然なトルク感があって、街中での頻繁なストップ&ゴーで疲弊することが本当になくなりました。そしてなによりも燃費が驚くほどいいこと。これは仕事で日々クルマを使う者にとっては案外大きい。すべてはコストですから。
しかも燃費がいいということはガソリンスタンドを探さなくてはいけない回数も減ります。都内ではガソリンスタンドも減少していますから、そういう煩わしさからも解消されます」
さらにコストという視点から、時間という効率についても。
「燃費の話だけに限らず、目に見えない時間というコストにも悩まされたことはないですね。たとえば都内の立体駐車場。SUVだとその車高から立体駐車場選びに制約が伴う場合がありますよね。東京といってもいろんな場所に出向くので、どこにでも停められないと駐車場を探しているだけで大きな時間のロスになります。ツーリングワゴンならそんなことで悩まされることはありません」
ファッションのイメージが薄いからこそ
意外性というスタイルが手に入ると思うんです
走る楽しさがあって、利便性がよく、スマートに低いコストと、まさに村上さんをして「完璧な一台」と言わしめる320d xDrive M Sportだが、ファッション性という点から見ると村上さんは自身の愛車をいかように見ているのか。
「正直なところ、BMWはファッション性という面でのアプローチは弱いですよね。むしろ男っぽくてハードなイメージが強い。ファッションの外側にあるというか…。でも、じつはそこがいいんです。ステレオタイプなブランドイメージで自分を飾るよりも、自身の審美眼で選んだものをうまくコーディネートしてお洒落に見せられた方が素敵じゃないですか」
確かに、走りとファッション、スーツのスタイリングとサーフィンなど、村上さんのスタイルには相反するイメージを自分の中で咀嚼しながら楽しんでいる様子が伺える。
「デザイン面で見れば、BMWのデザインにはこれといって突出したものがないんですよね。遊びらしい遊びもなければ、ソリッドな提案があるわけでもないですから。じゃあ垢抜けないかといえばそれも違う。となるとやっぱりこれは楽しく走るためのデザインなんだと納得するわけです。機能を優先したデザインだからファッション性は薄いけれども、嫌な感じもない」
独自の価値観で仕事に趣味に、そしてドライブの楽しみにとBMW 320d xDrive M Sportのある生活を満喫されている村上さん。今年はついに冬用タイヤを手に入れて、スノーボードと雪道のドライブも楽しんでみたいとのこと。「誰かの真似ではなく、自分のオリジナリティを信じることがファッション」という村上さん、320d xDrive M Sportの走行距離はまだまだ伸びそうだ。