ヤナセ ブランドスクエアは「国産車」もスゴい

「さまざまなブランドが集まる広場」という名前の由来のとおり、ヤナセの大型中古車展示施設であるヤナセ ブランドスクエアは、メルセデス・ベンツなどヤナセ取り扱いブランドのほかにも、国産車・輸入車を問わずさまざまな車両を取り扱っている。2023年12月にリニューアルしたヤナセ ブランドスクエア浦安で、ヤナセブランドスクエア代表取締役の藤田吉宣にその魅力について話を聞いた。

  • 2024年02月15日
  • 文:渡瀬基樹
  • 写真:佐藤亮太

全国5カ所に存在する広大な中古車の展示場

ヤナセの中で、中古車を扱う拠点として知られるのがヤナセ ブランドスクエアだ。広大な敷地に多様な車種、膨大な数のクルマがずらりと並ぶ姿はまさに圧巻。中古車を比べて選ぶ楽しさを提供する、クルマ好きがワクワクする空間だ。

2003年に誕生したヤナセ ブランドスクエアは、現在のところ横浜・浦安・名古屋・神戸・福岡の5カ所に拠点を置いており、近年では店舗のリニューアルが進められている。福岡と横浜に続いて、2023年12月にはヤナセ ブランドスクエア浦安がリニューアルオープン。最新のCI(コーポレート・アイデンティティ)が導入され、真新しい姿に生まれ変わった。

そんなヤナセ ブランドスクエアはどのような中古車を扱い、今後はどんなビジョンを目指しているのだろうか。ヤナセブランドスクエア株式会社の代表取締役である藤田吉宣に話を聞いた。

藤田吉宣(ふじたよしのぶ)。1984年、株式会社ヤナセ入社。現在、ヤナセブランドスクエア株式会社 執行役員 代表取締役。

「ヤナセのお客様」からの仕入れという安心感

中古車が店頭に展示されるまでには、その過程にいくつかのパターンが存在する。まずは、買い換えに伴う下取り車。そして展示車やデモカー(試乗車)として使用されたクルマ。さらに買い取り店などへ売却されたクルマが、オートオークションなどを通じて取引されるものが存在する。

オートオークションを介した中古車はまさに玉石混交で、前所有者の使用状況がわからないものが多いのに対し、下取り車や展示車・デモカーだったものは状態が良いケースが圧倒的に多い。これは所有者の履歴がはっきりしており、定期的なメンテナンスが施されていることがほとんどだからだ。

「ヤナセ ブランドスクエアで販売している車両のほとんどは、ヤナセで新車をお求めになったお客様からの下取り車です。中古車は仕入れがもっとも重要な部分。『ヤナセのお客様』から下取りした車両は、より一層の安心感を感じていただけるポイントだと考えておりますし、実際に内外装や内燃系、駆動系まで状態の優れた車両が多い理由となっていると思います」

実は中古車を扱っているヤナセの拠点は、ヤナセ ブランドスクエアだけではない。たとえばメルセデス・ベンツの場合、全国のメルセデス・ベンツ拠点にあるサーティファイドカーセンターやサーティファイドカーコーナーでも販売されている。

「ヤナセの各販売店で下取りした車両は、管轄の仕入れ部門で入念に検品されたのち、中古車拠点に振り分けられます。デモカーなどは、各販売店で検品及び商品化されることもあるため、ヤナセ ブランドスクエアが販売する車両は下取り車の構成が比較的多くなっています」

国産車はレクサスや高級ミニバンだけでなく、リーズナブルな車両も扱っている。コンパクトカーや軽自動車が店頭に並ぶこともある。
ヤナセ ブランドスクエア横浜では専用の展示フロアで、フェラーリなどプレミアムブランドの車両を展示・販売している。

取り扱いはプレミアムブランドからリーズナブルな中古車まで

2021年にヤナセ ブランドスクエアは分社化され、運営面でより自由度が増したという。もっとも大きな変化として現れたのが、取り扱いブランドの多様化だ。

「それまでのブランドスクエアでは、メルセデス・ベンツ、GM(キャデラック、シボレー)、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェといったヤナセ取り扱いブランドの車両を中心に販売しており、その他の車両のほとんどはオートオークションへ出品していました。しかしヤナセのお客様から下取りした車両は、ヤナセ取り扱いブランド以外であっても状態の良いものが多かったのです」

現在ではヤナセ取り扱いブランド以外の輸入車だけでなく、レクサスなどの国産車や、フェラーリなどのプレミアムブランドの車両も取り扱っている。

「ヤナセ取り扱いブランドの認定中古車については、新車と同様にヤナセのディーラーでサービスの対応を行っています。最大80項目におよぶ納車前点検と整備の実施のほか、保証期間に準じた365日24時間対応のヤナセツーリングサポートも付帯。また全国約170拠点のサービスネットワークが、転居や旅先でのサポートを行っています」

もちろん、ヤナセ取り扱いブランド以外についても、体制は万全に整えている。点検や整備に関しては協力工場を中心に、一部は各ブランドの正規ディーラーの協力を得て、対応を行っている。

「販売する全車に保証がついているほか、商品によっては有料で延長保証もご用意しています。販売にあたって、セールススタッフも他ブランドの車両に関する十分な知識を備えておかなければなりません。勉強会や展示車両の仕様等の確認など定期的に行って、ヤナセ取り扱いブランドの車両と同様のご説明ができるようにしています」

ヤナセ ブランドスクエアではコーティングなどの専門スタッフが常駐しており、作業を実施している。

ヤナセ ブランドスクエアで販売する「国産車」にはメリットが多い

取り扱いブランドが多様であることは、ヤナセ ブランドスクエアの魅力の1つだが、近年の下取車の入庫状況によって年式や走行距離の面でも幅が広がった。

「従来は一定の年式よりも古い車両や、走行距離が多い車両については扱っておりませんでした。しかし、低年式の車両だからといってすべて品質が劣るわけではありませんし、そのクルマをぜひ欲しいというお客様もいます。現在ではより良い商品を提供しようという観点から、年式や走行距離に過度にとらわれず、状態の良い車両の販売に率先して取り組んでいます」

それも、状態の良い車両が供給されるからこそ、できることだ。近年は国産車をあえてヤナセ ブランドスクエアで買いたいというユーザーも増えているという。

「これまで積み重ねてきたヤナセという会社の姿勢をご評価いただいていると思うのですが、もう1つの理由として、ヤナセ ブランドスクエアで扱っている国産車には、ハイグレードかつフルオプションのものが多いのです。そして中古車は、新車時に比べてグレードの違いやディーラーオプションなどの装備分の価格が、車両本体価格に反映されにくい傾向があります」

つまりヤナセ ブランドスクエアでは、グレードが高くて新車時は高額だったオプションが装着された車両が、リーズナブルに購入できる可能性があるということだ。そんなクルマを求めるユーザーは、単にヤナセに対する安心感を求めるのみならず、コスパを重視した賢い選択をしている可能性が高い。

そして、前オーナーがヤナセの顧客であろうということを知っていれば、定期的なメンテナンスを欠かさなかっただろうことも想像しやすい。経済的合理性を追求した結果、「国産車はヤナセ」という選択肢となっているのかもしれない。

雨天時の車両チェックだけでなく、納車時の出発の場所などとしても使用されるデパーチャーロビー。
ウッディな内装のレセプション。壁面にはクルマの部品を使用したオブジェが飾られるなど、凝ったデザインとなっている。

ヤナセ ブランドスクエアは多様なクルマが集まる広場

2020年にオープンしたヤナセ ブランドスクエア福岡から導入された新しいCIは、外観は黒とグレーのシックな色調、内装はウッディな明るい雰囲気となっている。

「ヤナセ ブランドスクエア浦安の展示場には、雨天にも対応したデパーチャーロビーとリザーブカーポートを新設しました。レセプション(ショウルーム)はアーバンリゾートをイメージしたデザインに仕上げました。営業スタッフとゆっくりお話いただける個室スペースや、キッズコーナーも新設しています」

メルセデス・ベンツのEQシリーズなど、電気自動車(EV)の取り扱いが増えたことから、普通充電器も2台設置。多目的トイレなど、配慮の行き届いた店舗設計となっている。

「ブランドスクエアという名称には『さまざまなブランドのクルマが集まる広場』という意味があります。屋外の展示場では、取り扱うブランドや車種の幅をより広げていき、レセプションはリゾートやおしゃれなカフェのように心地よくくつろげる空間を目指しています」

膨大な選択肢から車両を吟味できる展示スペースの楽しさだけでなく、商談や説明を受ける時間なども快適に過ごせる工夫が詰まった新しいヤナセ ブランドスクエア。新CIの導入とリニューアルは、他の店舗にも順次進められていく予定だ。

ヤナセがこれまで培ってきた信頼性と安心感は、サービスや保証のみならず、販売される車両の品質にもつながっている。さらにプレミアムな車両からリーズナブルなモデル、コストパフォーマンスに優れたモデルまで、幅広いラインアップを提供するヤナセ ブランドスクエアは、その名の通り、誰もがゆっくりクルマを見に訪れるのに最適な場所といえるだろう。

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