AUTOMOBILE COUNCIL 2024に出展したヤナセクラシックカーセンターの想い

2024年4月12日(金)~14日(日)千葉県・幕張メッセで開催された「AUTOMOBILE COUNCIL(オートモビルカウンシル) 2024」。2016年に初開催されたこのイベントは、自動車メーカー、インポーター、販売店が、自動車を“文化”と捉えて、物語のあるさまざまなクルマを展示・販売しています。ヤナセのグループ会社の一部門であるヤナセクラシックカーセンターは、今回5台のメルセデス・ベンツを出展しました。

  • 2024年05月23日
  • 文:高橋 満
  • 写真:尾形和美

メルセデス・ベンツ 500SL(R129)

1989年発表。先代のR107から18年ぶりにフルモデルチェンジしたモデルで、日本にはまず5L V8エンジンを搭載する500SLを導入。その後、6L V12エンジン搭載の600SLや3.2L V6エンジン搭載のSL 320などが発売された。
■展示車両:1993年式 
■展示価格:670万円 ※イベント当時の価格

80~90年代のモデルを中心に
5台のクラシックカーを展示

AUTOMOBILE COUNCILのおもしろさは、出展される多くのクルマにプライスタグが付けられていること。来場者は憧れのクラシックカーを会場で見て、触って、気に入ったらその場で購入することができます。

今回ヤナセクラシックカーセンターでは5台のクラシックカーを展示。そのうちの4台は長いお付き合いのあるお客様が大切に乗られてきたものをお預かりした、仲介販売です。

1969年式の280SE以外はいずれも“ヤングクラシック”である1980~1990年代のモデル。

1980年代までのクルマは言わずとしれたクラシックカーです。このようなモデルだと価格数千万円するものも珍しくなく、中には数億円という価格で取引されるものもあります。

一方で、メルセデス・ベンツのW201、W124、R129といった身近な存在のヤングクラシックを楽しみたいというニーズも多くあり、中には新車が販売されていた頃に生まれた30代のオーナーも。この時代のメルセデス・ベンツの魅力が普遍的であることの証でしょう。

メルセデス・ベンツ 280SE(W111)

1959年のフランクフルトショーで発表された新世代のフラッグシップモデル。ボディの全部と後部は今に至る衝撃吸収構造で構成されている。1967年にW111の最終進化形として2.8L 直6エンジンを搭載した280SEが登場。
■展示車両:1969年式 
■展示価格:2000万円 ※イベント当時の価格

ヤングクラシックを整備できる
人材を育成することがヤナセの使命

クラシックカーを手に入れる喜びだけでなく、実際に乗って楽しんでほしいというコンセプトから、ヤナセクラシックカーセンターは、クラシックカーを楽しむ方をサポートするため、2018年4月に設立。

スタッフには、エンジン、トランスミッション、アクスルなどのユニットを専門に分解修理ができるベテラン整備士がいます。ヤナセの傍系会社であったウエスタン自動車がメルセデス・ベンツの販売を開始した1952年当時からの貴重な技術文献や、代々引き継がれてきたノウハウをクラシックカーの整備に活かしています。

ヤナセクラシックカーセンターでは、一台のクルマを長く楽しんでいるお客様からの入庫を多数受け付けており、今回のAUTOMOBILE COUNCIL販売車両にも、製造から数十年経っていても1オーナー、2オーナーの車両があります。

長く愛着をもってクルマを楽しんでいるお客様、そしてこれからヤングクラシックを楽しみたいと考えている方々のために、これらのクルマを整備できるメカニックを育成していくことがヤナセの使命であり、自動車業界の先駆者としての役割だとクラシックカーセンターの担当者は話します。

メルセデス・ベンツ 500E(W124)

1985年にW123からフルモデルチェンジしたミディアムクラス。1993年からはEクラスに名称変更された。500Eは1991年に追加されたモデルで、開発と製造工程の一部にポルシェが関わっている。
■展示車両:1992年式 
■展示価格:560万円 ※イベント当時の価格

クラシックカーを楽しむ人の
“最後の砦”でありたい

1980~1990年代のモデルであるヤングクラシックには永く維持していくうえで、難しい時期に差し掛かっています。代表的な例として部品供給が挙げられます。製造から30年以上経っているため、ものによっては純正部品を探すのが困難になり、部品の値段が上がっているケースもあります。ヤナセクラシックカーセンターは、日本だけでなく世界中に目を向け、整備に必要な部品工場や、丁寧にリビルトを行ってくれる工場のネットワークを有しています。

クラシックカーセンターの整備では、お客様と綿密な打ち合わせのうえ、工程を決定。必要な際にはお客様にクラシックカーセンターまで足を運んでいただき、古い部品の状態と新しい部品を見ていただいて整備内容を明確にします。

ヤナセクラシックカーセンターは、クラシックカーを楽しむ人にとって『最後の砦』でありたいといいます。ヤナセで購入されていないお客様のクルマでも整備可能なものはお預かりしています。これもヤナセの役割のひとつだと考えています。

メルセデス・ベンツ 280TE(S124)

ミディアムクラス(Eクラス)のステーションワゴン。W124にはセダンとワゴンのほか、クーペとカブリオレが用意された。280TEはEクラスに名称変更された時にラインアップされたモデルで、2.8L 直6エンジンを搭載。
■展示車両:1995年式 
■展示価格:495万円 ※イベント当時の価格

クラシックカーを通して
オーナーの思い出に寄り添う

今回のAUTOMOBILE COUNCILのヤナセクラシックカーセンターの展示テーマは、“お出かけ”。ゴルフをイメージした500E、キャンプをイメージした280TE、アクティブにサーフィンを楽しむオーナーをイメージした500SL。ヤナセクラシックカーセンターが取り扱うクラシックカーでドライブを楽しんでほしいという想いがこめられているようです。

機械式の時計の小刻みに回転する秒針の動きや音などはデジタル時計では味わえないもの。フィルムカメラにも最新のデジタルカメラにはない色合いや空気感があります。人間は技術を進歩させ、さまざまなテクノロジーを生み出してきました。一方で、旧い機械には最新のものでは感じることのできないやすらぎや、受け継いで大切に使っていくことで得られる満足感などがあります。

クルマも同じ。そのクルマやブランドの歴史を知り、開発者の理念を知り、一つひとつの部品の機能を知ることは、オーナーの探求心を刺激する楽しい時間になるはず。そして手にした憧れのクラシックカーで大切な人とドライブを楽しむ。ヤナセクラシックカーセンターはそれぞれのクラシックカーオーナーの思い出に寄り添っていけたらと考えています。

メルセデス・ベンツ 560SL(R107)

1971年発表。通算3代目となるSLは脱着式のハードトップとソフトトップを備えたオープン2シーターで、ホイールベースを伸ばして4座にしたクーペタイプのSLCもラインアップされた。
■展示車両:1988年式 
■展示価格:885万円 ※イベント当時の価格

人々が笑顔になる、自動車文化を未来へと繋いでいこう。

『”自動車文化“を愉しもう。Classic,Modern,Future...絶え間なく進化を重ねる自動車たち』

AUTOMOBILE COUNCIL主催者の想いに賛同し、ヤナセクラシックカーセンターは2019年からこのイベントに参加しています。

人が進化する中で知恵を身に着けたように、“クルマ” という道具も誕生から目覚ましい進化を遂げています。そのおもしろさとワクワク感を感じさせてくれるのがAUTOMOBILE COUNCILというイベントではないでしょうか。

ヤナセが1915年に輸入車販売を始めてから、ずっと大切にしている“自動車がもたらす文化”を継続させていくこと。AUTOMOBILE COUNCILからも自動車文化を未来へと繋いでいこうという想いを感じることができます。

主催者はもちろん、自動車メーカーや販売店、プレミアムなライフスタイルを紹介するショップなど、イベントに参加するすべての人たちが過去を理解してそれを未来に繋いでいるからこそ、来場した多くの人たちも笑顔になるのでしょう。

ヤナセクラシックカーセンター
TEL:045-474-7856/FAX:045-471-1512
〒224-0044 神奈川県横浜市都筑区川向町1117
営業時間 9:30-18:00
定休日:日・月曜日、祝日、夏季、年末年始
https://yanase-classic.com
E-mail:yanase-classic@yanase.co.jp

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