ヤナセとクルマとヒトのコト Vol.7

メルセデス・ベンツの魅力を伝えるヤナセのプロダクトエキスパート

メルセデス・ベンツの正規ディーラーには、ブランドやプロダクトの案内に特化した専門のスタッフがいる。「プロダクトエキスパート」と呼ばれるこの仕事は商品の魅力を純粋に伝えることを目的に、セールスとは異なる立場でクルマ選びをサポートする。ショウルームのキーパーソンとなるプロダクトエキスパートの仕事とは。

  • 2024年09月26日
  • 文:高橋 満
  • 写真:尾形和美
来店したお客様にすぐ対応できるよう本城はショウルーム入口にスタンバイしている。商品説明が不要なお客様はセールスが接客を引き継ぐ。

メルセデス・ベンツというブランドを
伝えるアンバサダー

メルセデス・ベンツの正規ディーラーを訪れると、セールス担当ではなく、「プロダクトエキスパート」というスタッフがアテンドしてくれる。メルセデス・ベンツの商品に特化したスペシャリストとして、どんな疑問にも答えてくれ、クルマ選びをサポートしてくれる。またクルマ選びだけでなく、店頭での操作説明などお客様へのフォローアップも担っている。

「メルセデス・ベンツはプレミアムブランドということもあり、初めて訪れたお客様の中にはディーラーに対して敷居の高さを感じている方もいらっしゃいます。最初は遠慮していたお客様から『試乗してみてもいいですか?』と言っていただけると嬉しいですね。来店されたときよりメルセデスを好きになっていただけたと感じます」

そう話すのはメルセデス・ベンツ東名川崎のプロダクトエキスパートである本城真愛。ショウルームには具体的に購入を検討している人もいれば、なんとなくクルマを見に来たという人もいる。ただ、ディーラーに足を運んだ人に一つ共通しているのは、「メルセデス・ベンツに興味を持っている」こと。プロダクトエキスパートは「商品を売る」ことはないからこそ、ブランドを好きになってもらうためには何ができるかを日々考えている。

最新モデルは運転支援機能やエンターテインメント機能が充実しているので、お客様に使い方をひとつずつていねいに伝えていく。

メルセデス以外の
知識を得るのも大切な仕事

プロダクトエキスパートとしてどんなことにも答える本城だが、キャリアのスタートは自動車業界ではなかった。学生時代にイギリスに留学したことで、遠く離れた日本の「おもてなし」に惹かれ、ホテル業界に就職。その後、“好き”を仕事にしたいと思うようになり自動車業界に興味を持つようになった。そして6年前にこれまでの自分の経験を活かせるプロダクトエキスパートの職に就いた。

メルセデス・ベンツ東名川崎には初めて訪れる人だけでなく、長くお付き合いのあるお客様も多く来店する。新車はもちろん、過去の車種にお乗りのお客様からクルマの使い方を質問されることもある。だから日々クルマのことを勉強していると話す。

「メルセデス・ベンツのことをより深く知るために、自らもメルセデスオーナーになりました。長く乗っていると、いい部分だけでなく使い方に迷う部分も見えてきました。するとお客様と話をしたとき共感できるんですよね。実体験を踏まえてお客様に話せると、お客様も安心していただけていることを感じます」

本城の仕事はメルセデス・ベンツの知識があれば支障は出ないはずだが、クルマの購入を検討する方はメルセデス・ベンツ“だけ”を検討しているとは限らない。ゆえに本城は他のブランドの勉強も怠らない。他に検討しているクルマのことも理解することで、メルセデス・ベンツの他ブランドとは異なるこだわりを伝えることができるからだ。プロダクトエキスパートが大切にするのは「お客様の満足度」を高めることである。

「ヤナセではメルセデス・ベンツ以外のブランドも取り扱っているので、他社の最新モデルを試乗できるチャンスがあります。また、ある国産車ディーラーに私の勤務先をお伝えしたうえで、新型車に試乗させてほしいとお願いもしました」

本来なら競合であるはずの国産車ディーラーのセールスともコミュニケーションを深め、メルセデス・ベンツにも試乗してもらった。乗り心地や走行性能、運転支援機能の違いなどを実際に体験したことで、お客様の立場になって案内できることを感じているという。

ボディカラーの見本を見ながらお客様の好みをお伺いする。お客様にとって居心地のいい空間を作るために、ショウルームスタッフと連携し、ショウルームの香りやドリンクを工夫している。

素敵なカーライフを届けるために
一人ひとりのお客様を理解する

「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている。」
ヤナセのコーポレートスローガンであるこの言葉の重みを本城は日々感じている。クルマという商品は、購入いただいてからお客様との本当の付き合いが始まるものだという。

「クルマという商品を通してさらに何をご提供できるかを考えたとき、そのクルマがもたらす素敵な暮らしだと思いました。だからこそクルマだけでなくお客様のカーライフを総合的にサポートしていけたら嬉しいですね」

カーライフの楽しみ方は十人十色。一人ひとりの嗜好に合わせたサービスを届けるためには、お客様のことを知ることが大切だと本城は話す。

「プロダクトエキスパートになった頃はお客様との会話の内容をノートにメモして、読み返していました。今はノートがなくてもほとんどのことは頭に入っています」

本城はさらっと話すが、メルセデス・ベンツ東名川崎1店舗だけで軽く1500人以上のお客様とのお付き合いがある。一人ひとりのお客様に合わせたサービスを届けるのは並大抵のことではないはずだ。

試乗を希望されるお客様には、試乗に出る前に一通りクルマの操作方法を説明する。現状維持ではなく、どうすればよりいい案内ができるかを常に考えているという。

接客には終わりがない。
だからこそやりがいがある

「メルセデス・ベンツ東名川崎と長いお付き合いで、私がプロダクトエキスパートになりたての頃からご案内していたお客様のご子息がメルセデス・ベンツをご購入されることになりました。納車の日はお父様も一緒に来店されましたのですが、お見送りの際にお父様が『なにか困ったことがあったら本城さんを頼りなさい』と言ってくださったんです。お客様との信頼関係を築けたことが実感できて、本当にうれしかったですね」

プロダクトエキスパートはお客様と接してもセールスをすることはない。だからこそメルセデス・ベンツのクルマ、そしてブランドを好きになってもらうためには何ができるかを日々考えている。お客様のカーライフをサポートするプロダクトエキスパートは、終わりのない仕事。「だからこそ楽しいんですよ」と本城は笑った。

メルセデス・ベンツ東名川崎
住所
神奈川県川崎市宮前区土橋1-14-7
TEL
044-862-2011(ショウルーム)
044-862-2121(アフターサービス)
定休日
月曜日、第2火曜日(月曜日が祝日の場合は営業。翌火曜日が定休日)
年末年始

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