ヤナセとクルマとヒトのコト Vol.8

BMWそしてヤナセとお客様との接点をつくる

新型車のお知らせや展示会の告知など、お客様へのご案内を制作するマーケティング部門。BMWが持つ魅力を端的に伝えるために、どんな工夫をしているのだろう。さらにバックオフィスでセールスを支える立場として、仕事にどのようなこだわりを持っているのだろう。

  • 2024年12月12日
  • 文:高橋 満
  • 写真:尾形和美
フェアを告知する案内の制作は販売拠点との連携が欠かせない。来場記念品を決める際は上席やセールスの意見も参考にする。

セールス、ジーニアスを経験後
マーケティング担当に

BMW正規ディーラー、ヤナセバイエルンモーターズ株式会社で、マーケティングを担当する増田圭汰。インポーターであるBMW Japanが立てた新型車のローンチ計画やマーケティング施策に沿い、既存オーナーにニューモデルの情報をお知らせするダイレクトメール(DM)やYanase BMWが担当するエリアで配布する折り込み広告の制作などを行っている。

「私たちから送るDMなどの広告物はBMWが定めるCI(コーポレートアイデンティティ)というブランドのルールに沿って制作しています。その中でどうすればお客様にクルマの魅力とヤナセの魅力をお伝えできるか。入稿までの限られた時間の中で、仕事を手伝っていただいている代理店の方々と一緒に常に知恵を絞っています」

増田は2020年4月から現職に。それまでは大田支店(現在は閉鎖)でセールスを、田園調布支店ではお客様に商品の魅力を説明する「ジーニアス」という職種を担当した。ジーニアス時代にはお客様対応の合間に、ニューモデルの魅力を伝える動画を制作してYanase BMWの動画チャンネルにアップしていたという。

「企画、構成は上司と打ち合わせを重ね、編集はすべて私1人で担当しました。振り返って見てみると、クオリティは現在私が制作しているものと比べると見劣りしますが、それでもどの角度から撮影し、映像をどう繋いでいけば魅力がより伝わるかを考えながら制作したことは、現在の仕事の思考に役立っていると思います」

上にあるBMWのエンブレムを描いたものが、文中で増田が話したDM。封筒のサイズやレターの厚みなど、エンブレムが美しく見えるよう細部にまでこだわった。

思わず封を開けたくなる
“仕掛け”を盛り込む

自宅に届くさまざまなDM。あなたはそれらに目を通しているだろうか。増田は常に、どうすれば配送したDMがお客様の目に留まり、封を開けて中を見てもらえるかを考えている。

「BMWの魅力である『本質としてのプレミアム』をDMからも感じていただけるように、手元に届いた事自体が特別なことであると思ってもらえるものを制作することを心がけています。もう一つ、思わず封を開けたくなる“仕掛け”を盛り込むことを常に意識しています」

増田に「特にこだわってつくったもの」を尋ねると、展示会の招待状を見せてくれた。封筒の表面に丸い穴を開けて、中に入っているレターがBMWのエンブレムに見えるようにした。遊び心のある招待状を見て、受け取った人はワクワクしながら開封したはずだ。

「全国統一フェアを実施する際は、ご案内の目立つところに来場記念品の写真を入れています。私の業務はバックオフィスなので、お客様と直に関わる機会はほとんどありません。それでもセールスや支店長から『フェアの記念品、好評だったよ』『記念品を渡した人が後日成約につながった』という話を聞くと、励みになります」

お客様にお届けするDMには遊び心やお得感が見えることが大切だが、もっとも重要なのはクルマの魅力を端的に伝えること。これにはセールスやジーニアス時代の経験が役立っている。商品知識を学び、自らもさまざまなBMW車に試乗して良さを感じ、それを仕事に活かしてきた。マーケティング担当になってからも知識のアップデートは怠っていない。それを制作物にしっかり盛り込んでいるからこそ、お客様にBMWの魅力がしっかり伝わっているのだろう。

『BMW Golf Cup』の予選会は、80~160名が参加するビッグイベント。プロのトーナメントが開催される名門コースで行うため、毎年参加しているお客様も多い。

まったくの手探りで
ゴルフイベントを実施

マーケティングツールの制作と並ぶ、増田のもう一つの大きな仕事。それがイベント運営だ。BMWジャパンは毎年、お客様向けのアマチュア・ゴルフ・トーナメント『BMW Golf Cup』を開催。そのディーラー予選会を取り仕切っている。増田にとって忘れられないのは、2021年の予選会だという。

「2020年4月に現部署に異動してきましたが、その年はコロナ禍でイベントが中止になり、翌年に再開しました。前任者はすでに別の部署に異動してしまったため、運営の引き継ぎができず、すべて手探りで準備をすることになったのです」

初めて担当した名古屋での予選会の参加者は80名。参加者の希望を聞きながら組み合わせを決め、ゴルフ場との折衝を重ね、開催前日から会場を設営する。タイトなスケジュールだったが、なんとかトラブルなく終えることができた。この経験は増田の中で大きな自信につながったはずだ。

「『BMW Golf Cup』は予選会でもBMWのプレミアム性を体感いただけるコースで開催しています。そのため、参加を楽しみにしてくださるお客様が大勢いらっしゃいます。イベントとクルマの販売は関係なさそうに思う人もいると思いますが、セールスから『BMW Golf Cup』への参加が受注につながったというフィードバックを受けることも多々あります。イベントを通してBMWのプレミアム性が伝わったと思うと嬉しいですね」

BMWの駆けぬける歓びは実際にお乗りいただくことでより伝わるもの。そしてヤナセが長い年月をかけて培ってきたお客様との信頼関係を新しいお客様にも感じてもらいたいと考えている。

ヤナセのホスピタリティも
お客様に伝えたい

「BMWの一番の魅力は“運転する楽しさ”だと思います。私自身、BMWを愛車にしていて、それを強く感じています。ライバルモデルに比べるとインテリアがシンプルだと感じるお客様もいらっしゃいますが、私はセールス時代、お客様にBMWの“質感へのこだわり”を説明していました。それこそが“本質としてのプレミアム”だと思っているからです」

運転してもらうことでBMWの良さを多くの人に伝えるためには、その機会を自らつくる必要がある。各拠点で開催される試乗会はお客様にBMWの魅力を感じてもらう重要なイベントだ。イベントを告知するツールを自分が制作しなければ、お客様とBMWとの接点が生まれない。増田はそう考えながら、タイトなスケジュールを乗り切っているという。

「私の役割は、クルマの魅力をお伝えすると同時に、ヤナセならではのホスピタリティを感じていただく機会をつくることだと考えています。ヤナセが持つ100年以上の歴史やブルー&イエローのステッカーに裏打ちされた信頼。BMWを選んでいただくお客様に『ヤナセで買ってよかった』と感じていただく。これからもその接点をつくり続けていければと思います」

Yanase BMW 田園調布支店
住所
東京都世田谷区奥沢6-3-5
TEL
03-3703-4611
定休日
月曜日・第2火曜日(月曜日が祝日の場合は営業。翌火曜日が定休日)
年末年始、夏期

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